投稿

機械系技術者として読んだ書籍②大学入試編

 書き始めたら前段階だけで長くなってしまい、そのあと風邪ひいたり出張出張で忙しかったりしてしまいました。書籍紹介をしていきたいと思います。今回は東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻を受験したときの本を紹介します。 大学学部~大学院入試 機械系大学院への四力問題精選 amzn.to 4,550 円 (2023年06月26日 00:16時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 東京大学の大学院入試において機械系の人は必ず持つべきとされている本です。確かに一冊あればってぐらいの網羅度を誇りました。内部性はこれと講義の資料があればまず大丈夫だろうってほどです。 伝熱工学 (JSMEテキストシリーズ) amzn.to 2,075 円 (2023年06月26日 00:16時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 材料力学 (JSMEテキストシリーズ) amzn.to 2,074 円 (2023年06月26日 00:14時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する JSMEシリーズの教科書。伝熱工学と材料力学を代表例として載せています。日本機械学会が出しているのにもかかわらずかなり易し目に書かれているので学生や企業内での勉強会にもぴったりです。機械学会は歴史があるのもあって易しく説明するというのにも力を入れているのがいいですね。機械工学は工業高専などもあって教育に力を入れられています。あ、でも東大の講義はこれらの本ではありませんでしたし、自分の研究室としては伝熱工学は下記の本を推奨しなくてはなりません。 伝熱工学 (東京大学機械工学) amzn.to 3,520 円 (2023年06月26日 00:26時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 詳解 大学院への数学(改訂新版)―理学工学系入試問題集― amzn.to 2,750 円 (2023年06月26日 00:22時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 数...

機械系技術者

  巷では情報系や電子工作の教育ルートはかなり整備されてきていると思いますが、機械系技術者に向けた情報は少ないと思います。その理由として ①個人で練習することが難しい 機械系のエンジニアになるための練習をするにしても、個人で行うのは難しいところがあります。部品を探すにしても個人向けにも調達してくれるのはモノタロウぐらいしかありません。設計をするにしてもスペックの高いPCが必要である上に3DCADソフトのライセンス費用は個人の趣味でやるにはまだまだ高すぎます。図面を書いても部品を製作するにはお金がかかりますし、部品だけではあまりにも面白くありません。オープンソースが発達しているCAEの分野も個人のPCでやるにはスペックの高いPCが要求されます。 ②分野があまりにも細分化・深い 機械系技術者が扱う内容は、結局ものづくりに関すること”すべて”です。4力学、制御、設計というのを大学では中心に学ぶのですが、その適用先は船舶、飛行機、自動車から社内の設備、家具、電化製品、デバイスの設計などなどそれぞれにそれぞれしかない知見が凝縮されています。もちろん企業ではこれらの知見というのは門外不出なので、巷に情報として出回ることはありません。勉強するにしてもできないのです。 ③儲かる分野じゃない 一方で機械工学という学問は、すでになにか新しい産業がここから産まれる可能性があるというような先端領域ではありません。航空機や戦艦をつくっていたような時代よりも前の時代から存在しています。なにかの第一人者になることはできても、先述の理由から企業内の技術者でとどまっている間は企業の給与体系に縛られ、社会のトップお金持ちになることはできないでしょう。(お金持ちになるためには機械工学だけじゃなくて、別のものがひつようになるはずです) それでも機械工学が社会からなくなることはないでしょう。それは機械工学はものづくりのあらゆる分野に適用できる知見だからです。よく耳にするくいっぱぐれがない…というのは本当なのか分かりませんが、なくなるものではないはずです。

結局 設計技術の差は図面の書き方に表れるよね。

 なかなかブログを書く時間が取れませんが、今日は思っていることを。 大学の機械工学科ではなかなか”設計”を学ぶことが少ない。 なぜなら大学の先生は実際にモノを作ることは経験してないから。 もちろん4力学とかは把握しているので、こういう形がいいよねっていうのはわかるのですが、実際設計をすると大事なのは形じゃないんです。 3DCADの普及で、まあ新人とかでも簡単に形状を作成できるようになった。もちろんここにも熟練者と新人でレベルは異なるわけだが、いい本も出ている。それに最近では一から新規設計をする経験を持てる人も少なくなっているのでそこまで問題じゃなかったりする。 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%81%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%80%81%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%82%AB-%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E8%A6%81%E7%B4%A0%E5%BD%A2%E7%8A%B6%E3%81%AE%E8%A8%AD%E8%A8%88-%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%81%E3%82%92%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%81%AF%E7%90%86%E5%B1%88%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AD%E3%82%93-%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%8F%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%8F%E3%82%84%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%81%9F%E3%81%A4-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E5%AD%A6/dp/4526078417 でも設計者のレベルが分かれるのは実は形状ではなく、その図面の中身。 これは大学の先生も知らないので学ぶことができない。 言語化された資料が圧倒的に少ない。寸法の入れ方ひとつで設計者がこの部品にはどういう機能を意図しているのか、何を大事にしているか読み取れるもの。 それが結構いい加減でもなんとかしてしまっているのが日本の加工技術者のすごさ。

Altair Radiossがオープンソース化!

 https://www.altairjp.co.jp/news/open-radioss ミシガン州トロイ - 2022年9月8日  - 計算科学と人工知能(AI)の分野で世界をリードする Altair (Nasdaq: ALTR)は、業界で実績のある動的問題のための有限要素解析(FEA)ソルバー  Altair Radioss をオープンソース化し、 OpenRadioss として提供を開始します。Altairは、グローバルな技術革新のペースを加速させ、あらゆる産業が直面する複合領域的な課題(特に気候変動と持続可能性の目標)の増大に対処するため、OpenRadiossをリリースしました。 衝撃解析でよく用いられるLS-DYNA一強時代に一石。 LS-DYNAのインプットファイルも使うことができるソルバがオープンソース化しました。いろいろ活用できそうですので、このblogでも情報発信していきたいと思います。

ココナラの紹介

 ココナラ(https://coconala.com/)というサービスをご存知でしょうか? ココナラは個人のスキルを”売る”ことができるスキルマーケットです。 わたしもココナラのアカウントを作成しましたので、いろいろ皆様のお力になれればと思っています。 理系科目・機械工学、技術士補を指導します https://coconala.com/services/2385948?ref=service_recommend_provider 3DCAD作成&解析実施&カウンセリングを承ります https://coconala.com/services/2355204?ref=service_recommend_provider excelデータ解析のお手伝いをいたします https://coconala.com/services/2384927?ref=service_recommend_provider ぜひどうぞ。

OpenFOAMをWindowsにインストールする

Aerosolved(https://www.intervals.science/resources/aerosolved) (フィリップモリスがつくったエアロゾル解析のためのライブラリ) を使用する予定のため、OpenFOAMのVerが一昔前のものである。 Windowsにこのバージョンをコンパイルする際に WSLを使うわけだが Ubuntu20系だとうまくいかなかったので(おそらく qt4⇒qt5の互換性関係の問題だと思う) Ubuntu18系にしたら https://inabower.hateblo.jp/entry/2019/07/14/044413 の手順に沿うことで問題なくコンパイルできた。

コーティング理論② リビング不安定(リブスジ)

 コーティング欠陥の1つ リビング不安定について説明します。 リビング不安定とは速度があがってきたり、塗膜を薄くしたり、塗液の粘度が高くなると幅方向で周期的な気液界面の乱れが生じ、その結果スジが発生する現象です。特にウェブの搬送方向と回転方向が同じであるforwardロールコータやバーコータなどではほとんど必ず発生する現象になります。 リビング不安定は1960年ごろから研究されており、様々な議論がありましたが1990年代にはほぼ理論が完成してきたといってよいと思います。 いまだに定量的にリビング不安定を予測するのは難しいのですが。多くの実験結果があり、Ca(キャピラリー数)と隙間とロール径との比で整理できると考えられています。 キャピラリー数とは粘性力と表面張力との比を表した無次元数であり Ca = μV/σ (μ:粘性係数、V:代表速度、σ:表面張力) です。 つまりリビング不安定は塗液の粘度と表面張力、ロール径(ロールコータのとき)や隙間(≒塗膜厚さ)で決まることになります。このうち装置パラメータはロール径のみですね。 スリットダイやリップコータといったものは、ロール径が限りなく0に近づいたものと考えてください。ゆえにスリットダイやリップコータはロールコータよりもリブスジが発生する速度がはやくなります。 https://www.cheric.org/PDF/KARJ/KR22/KR22-1-0075.pdf