コーティング理論② リビング不安定(リブスジ)

 コーティング欠陥の1つ リビング不安定について説明します。


リビング不安定とは速度があがってきたり、塗膜を薄くしたり、塗液の粘度が高くなると幅方向で周期的な気液界面の乱れが生じ、その結果スジが発生する現象です。特にウェブの搬送方向と回転方向が同じであるforwardロールコータやバーコータなどではほとんど必ず発生する現象になります。


リビング不安定は1960年ごろから研究されており、様々な議論がありましたが1990年代にはほぼ理論が完成してきたといってよいと思います。


いまだに定量的にリビング不安定を予測するのは難しいのですが。多くの実験結果があり、Ca(キャピラリー数)と隙間とロール径との比で整理できると考えられています。


キャピラリー数とは粘性力と表面張力との比を表した無次元数であり
Ca = μV/σ (μ:粘性係数、V:代表速度、σ:表面張力)
です。

つまりリビング不安定は塗液の粘度と表面張力、ロール径(ロールコータのとき)や隙間(≒塗膜厚さ)で決まることになります。このうち装置パラメータはロール径のみですね。


スリットダイやリップコータといったものは、ロール径が限りなく0に近づいたものと考えてください。ゆえにスリットダイやリップコータはロールコータよりもリブスジが発生する速度がはやくなります。


https://www.cheric.org/PDF/KARJ/KR22/KR22-1-0075.pdf

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