熱の設計はまず熱量と比熱を押さえる
電子回路や加熱機器の設計など、熱設計は化学装置だけでなく様々なものに必要なスキルですよね。
しかし、私の経験では熱の設計というとなぜか温度を中心に考えてしまい、本質を見失っていることがよくありました。これは”温度”が一番感覚的に馴染みがあり、測定することができるからだと思います。
温度だけを気にしていると痛い目をみます。
一番大事なのは
「対象の系が扱っているのはどれくらいの熱量の話なのか?」
がわかっていることです。
ある物体の温度を測定したらT[K]だったとき、この物体が持つ熱量Q[J]は、次のような式で表すことができます。
Q=mcT ただし、m:物体の質量[kg]
c:物体の比熱[kJ/kgK](材料によって異なる)
また、ある物体の温度を⊿T[K]だけ上げたい時に必要な熱量⊿Q[J]は、⊿Q=mc⊿Tとなります。
上の式から
温度が高い → Tの値が大きい
熱を持っている → Qの値が大きい
ということがいえます。
「じゃあ温度が高ければ熱量も大きいってことで同じ意味じゃないか」と思うと思いますが、これを勘違いしてはいけません。
どういうことなのか次回以降で説明していきます。
最後に1問例題を。
20℃の水1kgに30,000Jの熱量を加えたときに、水の温度は何度になるでしょうか?
水の比熱:4186J/kgK
Q = m・Cv・ΔT
ΔT =Q/(m・Cv)
=30,000J/(1kg・4186J/kg・K)
=7.2 K (7.2℃)
20℃ + 7.2℃ = 27.2℃
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