ウェットコーティング理論 空気同伴
コーティング欠陥の一つ 空気同伴について説明します。
コーティングは空気から塗液に置換する作業ですが、特に液体の速度が速すぎると置換しきれず空気が残存してしまい気泡となってしまうことがあります。これが空気同伴です。
下の図はスリットダイをイメージした図です。動的接触角θdが速度が増すと180°に近づいていきます。臨界値を超えると動的接触線はのこぎり歯状になり気泡が侵入します。さらに速度を上げていくと、3次元的な流れの不安定性もあって間欠的に気泡を巻き込んでいきます。
液槽の中に平滑な個体を一定の速度で衝突させていれていくテープ流で空気同伴の評価をすることが多いのですが、これによれば空気同伴の開始速度は液体粘度に反比例し
(参考:Ca = μσ/U =1.68μ^(-0.6) B. Bolton, S. Middleman)
先ほどの式から塗液の粘度をさげること、また
1)慣性力(質量)で粘性力に対抗する
2)静電アシスト
3)表面粗さ制御による濡れ性制御
4)粒子補助
といったことが研究されてきました。2)はコロナ処理装置としてよく利用されています。
装置の構造設計をするためには1)が重要になってきます。これについては物理は同様なのですが、スリットダイやロール塗布、リップコータなど装置によって構造の設計は変化していきますのでまた別記事でそのアーキテクチャを検討していこうと思います。
ほかにも特許として
1)空気を二酸化炭素に置換(水に溶ける気体)
2)真空にする
3)超音波を用いて気泡を微細に分解して溶解しやすくする
といった気体側から攻めたものもあります。解析でも気体側の流れの影響が関係していることがわかってきたようです。
参考文献(文献のReferenceなども読んでいますが長くなるので省略)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0927775707008230
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0307904X11000175?via%3Dihub
https://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0064467
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